慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫は、頭を軽く打った数週間から数ヶ月後に、脳を包む硬膜(こうまく)という膜の下にじわじわと血液が溜まり、溜まった血(血腫)が脳を圧迫することで様々な症状を引き起こす病気です。高齢者の方に多く見られる疾患ですが、ご本人が「頭を打った」という記憶がないほどの軽微な衝撃がきっかけになることも珍しくありません。症状がゆっくりと進行するため、ご家族からは「最近少しボケてきたのかな」「足腰が弱ってきたのかな」と、加齢による変化や認知症と勘違いされてしまうことが多々あります。しかし、慢性硬膜下血腫は適切な診断と処置を行えば、劇的な改善が期待できる「治る病気」のひとつです。豊中駅前にある当院では、最新鋭のMRIを導入しており、即日の精密検査が可能です。大阪府豊中市や梅田周辺にお住まいの方、またはそのご家族で、歩き方の変化や物忘れが気になり始めた方は、手遅れになる前にぜひ一度ご相談ください。
慢性硬膜下血腫の症状について
慢性硬膜下血腫の症状は、血腫がどちらの脳を、どの程度圧迫しているかによって多岐にわたります。また、数日から数週間かけて徐々に進行していくのが特徴です。
歩行障害(歩きにくさ)
比較的初期から現れやすい症状です。今まで普通に歩けていたのに、急に足が前に出にくくなったり、歩幅が狭くなって小刻みに歩くようになったりします。また、バランスを崩してふらつきやすくなることもあります。これは脳の運動機能を司る部分が圧迫されるために起こります。
認知機能の低下(物忘れ・意欲低下)
急激に認知症のような症状が進むのが慢性硬膜下血腫の大きな特徴です。具体的には、以下のような変化が見られます。
- さっき話したことをすぐに忘れてしまう
- ぼんやりしている時間が増え、何事にも無関心になる
- つじつまの合わない言動が見られる
- 計算ができなくなる、あるいは着替えなどの日常動作が難しくなる
ものわすれの詳細については「ものわすれ」のページを参照してください。
認知症との違いについては「認知症」のページを参照してください。
麻痺(手足の脱力)
片方の手足に力が入らなくなる「片麻痺(へんまひ)」が起こることがあります。脳梗塞のように突然動かなくなるのではなく、「なんとなく箸を落としやすくなった」「スリッパが脱げやすくなった」という程度の軽い症状から始まることが多いです。
手足が動かしにくいと感じる場合は「手や足が動かしにくい」のページを参照してください。
頭痛と吐き気
血腫によって頭蓋骨の中の圧力が高まると、頭痛や吐き気を催すことがあります。高齢者の場合は痛みをあまり訴えないこともありますが、若年者の場合は強い頭痛がきっかけで発見されるケースも目立ちます。
頭が痛いと感じる場合は「頭が痛い」のページを参照してください。
慢性硬膜下血腫の原因について
慢性硬膜下血腫の主な原因は、頭部への外傷です。しかし、そこにはいくつかの特殊な要因が重なっています。
軽微な頭部外傷
転倒して頭を打ったり、ドアの角に軽くぶつけたりといった程度の些細な衝撃が原因となります。多くの場合、怪我をした直後は何の症状もなく、CTやMRIを撮っても異常が見られません。しかし、衝撃によって脳の表面の血管やくも膜にわずかな傷が入り、そこから少しずつ血液や髄液が漏れ出し、時間をかけて膜を形成しながら『古い血』としてたまってきます。
頭を打った際の注意点については「頭を打った」のページを参照してください。
加齢による脳の萎縮
高齢になると脳が少しずつ萎縮し、頭蓋骨と脳の間に隙間が広がります。この隙間があることで、脳を繋ぎ止めている血管が突っ張った状態になり、少しの衝撃でも血管が破れやすくなってしまいます。これが、高齢者に慢性硬膜下血腫が多い最大の理由です。
血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)の服用
心筋梗塞や脳梗塞の予防のために、抗血小板薬や抗凝固薬を服用している方は、出血が止まりにくいため、慢性硬膜下血腫を発症するリスクが高まります。また、多量のお酒を日常的に飲む習慣がある方も、肝機能の低下や脳萎縮の進行によってリスク因子となります。
慢性硬膜下血腫の病気の種類について
慢性硬膜下血腫は、血腫の場所や時期によっていくつかのパターンに分類されます。
片側性血腫
左右どちらかの硬膜下に血腫ができるタイプで、最も一般的です。血腫がある側とは反対側の手足の麻痺、話しにくさ、頭痛などが出ることが多いです。
両側性血腫
左右両方の硬膜下に血腫ができるケースです。高齢者によく見られます。片側の麻痺よりも「認知症のような症状」や「全体的な活力の低下」が目立つのが特徴です。左右から脳が圧迫されるため、脳梗塞の様なわかりやすい症状が出にくいため、早期に画像診断を行って診断する必要があります。
再発性血腫
一度手術で血腫を取り除いた後に、再び血液が溜まってしまう状態です。手術後に約10%の確率で再発が起こると言われています。手術後数週間から数ヶ月以内に起こることがあり、再手術が必要になる場合もあります。
慢性硬膜下血腫の治療法について
治療方針は、血腫の大きさと症状の程度、そして患者さんの全身状態を考慮して決定します。
経過観察と薬物療法
血腫が非常に小さく、症状がほとんどない場合は、自然に吸収されるのを待つ「経過観察」を選択することがあります。その際、血腫の吸収を促進させるために、五苓散(ごれいさん)という漢方薬や止血剤を処方することがあります。定期的にMRI検査を行い、血腫が増大していないかを確認します。
穿孔洗浄術(せんこうせんじょうじゅつ)
症状が出ている場合には、手術が第一選択となります。脳神経外科の手術の中でも比較的身体への負担が少ない治療です。
- 局所麻酔を行い、頭皮を数センチ切開します。
- 頭蓋骨に10円玉程度の小さな穴を1つ開けます(穿孔)。
- 硬膜を切開して、中に溜まった古い血液を排出します。
- 生理食塩水で中をきれいに洗浄し、再発防止のために数日間チューブ(ドレーン)を留置して残った血液を出し切ります。
この手術により、脳の圧迫が解除されると、歩行障害や認知症状が劇的に改善することが多く、患者さんやご家族に大変喜ばれる治療です。
中硬膜動脈塞栓術(ちゅうこうまくどうみゃくそくせんじゅつ)
再発する慢性硬膜下血腫に対しては、血腫の被膜に血液を送る血管をカテーテルで閉塞することで、再発の可能性を下げることができます。再発された場合には、上述の穿孔洗浄術に組み合わせて行うことができます。
慢性硬膜下血腫についてのよくある質問
Q1. 頭を打ってからどのくらい経って症状が出ますか?
A1. 一般的には怪我をしてから1ヶ月から2ヶ月後に症状が出ることが多いです。早い方では3週間後、遅い方では半年後に見つかることもあります。
Q2. 手術は高齢でも受けられますか?
A2. はい、可能です。局所麻酔で短時間(20-30分程度)で行える手術ですので、90歳を超える高齢の方でも受けていただくことが多い治療です。
Q3. 認知症と言われましたが、治る可能性はありますか?
A3. 認知症だと思われていた方が、実は慢性硬膜下血腫だったというケースは少なくありません。慢性硬膜下血腫は早期に治療することで症状の改善が得られやすい病気です。認知症だから仕方ないとあきらめずにまず専門医の診察を受け、検査などを行うことが重要です。
Q4. 予防する方法はありますか?
A4. 最善の予防は「転倒を防ぐこと」です。また、頭を打った自覚がある場合は、その時異常がなくても1〜2ヶ月はご家族が注意深く様子を見守ってください。少しでも歩き方や言動がおかしいと感じたら、脳神経外科を受診してください。
Q5. MRI検査はすぐに受けられますか?
A5. ばんば脳神経外科クリニックでは、最新のMRIを導入しており、即日検査が可能です。予約の患者様がおられますので待ち時間は生じる可能性はありますが、余裕を持って予約を受けておりますので、比較的短い時間でMRIを施行できるように、スタッフ一同、努めております♾。
院長より
豊中駅前 ばんば脳神経外科クリニック院長の馬塲庸平です。私はこれまで脳神経外科医として、数多くの慢性硬膜下血腫の患者さんの診療に携わってきました。この病気の最も辛い点は、ご家族が「もう歳だから仕方ない」と諦めてしまい、適切な治療の機会を逃してしまうことです。しかし、慢性硬膜下血腫は数ある脳疾患の中でも、比較的簡単な外科的治療によって劇的な回復が期待できる「希望のある病気」です。
当院には、私をはじめ日本脳神経外科学会専門医が在籍しており、大学病院レベルの高度な診断を身近なクリニックで受けていただける体制を整えています。当院では最新鋭のMRIで、わずかな変化も見逃さないよう精密な診査を行います。豊中駅から徒歩3分という立地で、梅田方面からも急行で12分とアクセスが良く、提携駐車場も完備しております。
「こんな些細なことで相談してもいいのだろうか」と迷われる必要はありません。私たちは、地域の皆さんの「脳のかかりつけ医」として、一人ひとりの患者さんに寄り添い、丁寧でわかりやすい説明を心がけています。少しでも気になる変化があれば、どうぞ安心してお越しください。早めの診断が、患者さんとご家族の笑顔を取り戻す第一歩となります。スタッフ一同、誠心誠意サポートさせていただきます。
脳ドックについても詳細を知りたい方は「脳ドック」のページを参照してください。
